新聞掲載記事平成31年3月

任意継続

Q. 3月末で退職します。退職した後、国民健康保険に加入せずに、現在の健康保険に加入していられると聞いたのですが、手続きなどが必要なのでしょうか。

A. 退職後の健康保険には ①在職時に加入している健康保険の任意継続 ②国民健康保険 ③家族の健康保険の被扶養者の3つ選択肢があります。

在職中の加入している健康保険には、全国健康保険協会(以下協会けんぽ)と健康保険組合があり、それぞれで任意継続の制度があります。健康保険組合でも協会けんぽと任意継続の制度は同等のものになっているはずですので、ここでは多くの事業所が加入している協会けんぽの場合で説明をします。

まず、健康保険の任意継続をするためには加入条件があります。具体的には、退職する日までに被保険者期間が2か月以上あること、船員保険の被保険者又は75歳になると加入する後期高齢者医療の被保険者でないことです。任意継続の被保険者期間は2年間ですが、被保険者が死亡した場合、就職などにより健康保険の被保険者になった場合、船員保険、後期高齢者医療保険の被保険者になった場合、保険料を納付期限までに納付しなかった場合は任意継続の資格を喪失します。途中での資格喪失はこれらの場合に限られますので、任意継続中の2年の間で国民健康保険へ加入したり、家族の被扶養者になったりすることはできません。

健康保険の任意継続の手続き方法は、退職日の翌日から20日以内にお住いの都道府県の協会けんぽ支部へ、ご自身で申請をします。その際、被扶養者がいるのであれば、一緒に被扶養者の収入を証明する書類などを添付して申請します。保険証は新しいものが発行されますので、現在お手元にある保険証は退職日までしか使用できません。

保険料については、在職中の保険料は労使折半でしたが、任意継続の際には全額自己負担となるので、保険料は今までの2倍となります。ただし保険料には上限があります。協会けんぽでは、平成31年度からの上限である30万円と、退職時のご自身の標準報酬月額を比べて低い方を標準報酬月額とし、保険料を計算します。保険料は2年間変更はありませんが、任意継続中に40歳になると介護保険料が発生したり、65歳になると介護保険料が年金から徴収されたりしますので、その際には保険料が変更になります。また、保険料率の変更や、保険料の上限の変更がある場合にも保険料が変更される場合があります。

最後に、在職中に配偶者を被扶養者にしていた場合、配偶者は国民年金の第3号被保険者として、国民年金の保険料の納付は必要ありませんでしたが、健康保険の任意継続で配偶者を被扶養者にした場合、国民年金の第3号被保険者とはなりません。したがって、配偶者の方が20歳以上60歳未満である場合は、国民年金の第1号被保険者として保険料の納付の義務がありますので、ご注意ください。

みくに労務管理事務所 須田めぐみ

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