新聞掲載記事平成24年1月

時給を上げる支援策について

Q. 私の会社ではパートタイマーを多く雇っています。業績が上がってきたため、全体の時給を上げようと思うのですが、負担を考えると二の足を踏んでしまいます。何かいい支援策はありませんか?

政府は平成22年の雇用戦略対話で「2020年までの出来る限り早期に全国最低時給800円を確保し、景気状況に配慮しつつ、全国平均時給1000円を目指すこと」を掲げています。この目標を達成するため、最低賃金の引上げによりおおきな影響を受ける中小企業に対する支援を目的として「業務改善助成金制度」を設けました。
具体的な内容は、

対象企業
①産業に応じて、下表のいずれか一方をみたす企業
・一般産業:3億円以下の法人、300人以下
・卸売業:1億円以下の法人、100人以下
・サービス業:5000万円以下の法人、100人以下
・小売業:5000万円以下の法人、50人以下
②事業場が最低賃金700円未満の道県にあること(群馬県は該当します)
③事業場内の最低賃金が時間額800円未満(時給だけでなく日給や月給を時給換算した場合も含まれます)であること。

これらの要件を満たす企業で、4年以内に事業場内の最低賃金を時間給等800円以上とする計画を作成提出し、1年目に時間給等を40円以上引き上げます。申請には賃金を引き上げた3ヶ月間の実績が必要になります。例えば、所定労働時間が8時間で日給6000円の労働者の場合、1年目で日給6320円以上に引き上げ、実際に3ヶ月間給与を支払います。その後、この引上げに伴い行った業務改善に要した経費の2分の1(下限5万円、上限100万円)の額が助成されます。具体的には、POSレジ等の設備機器や車両の購入、店舗の改装や研修など業務改善につながるものが幅広く対象となります。
現在の群馬県の最低賃金は690円(特定の産業を除く)です。最低賃金は年々上昇しており、先行して事業場内での最低時給の引上げを検討しているのであれば、非常に有用な制度です。ただし、個人ではなく会社全体の最低時給を引き上げることになりますので、今後の事業計画も含め、慎重に検討しましょう。

みくに労務管理事務所 社会保険労務士 竹田 正和

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