新聞掲載記事平成24年10月

ADR(裁判外紛争解決手続)について

Q. 従業員と残業代でトラブルになっています。解決手段としてADRや労働審判といったものがあると伺いました。
  どういったものなのでしょうか?

まず、ADRについて説明します。ADRとは、裁判外紛争解決手続(Alternative Dispute Resolution)のことで、訴訟によらない紛争解決方法をいいます。トラブルの当事者の会社と労働者の間に、学識経験者である第三者が入り、双方の主張の争点を確かめ、場合によっては、両者が採るべき具体的なあっせん案を提示するなど、紛争当事者間の調整を行い、話し合いを促進することにより、紛争の円満な解決を図ります。また、ADRには都道府県労働局の紛争委員会等を舞台にした行政型ADRと厚生労働大臣が指定する団体による民間型ADRがあります。特徴としては、非公開で行われるので、企業イメージやプライバシーが保たれること、裁判のような勝ち負けがないので円満な解決ができること、1~3回程度の短期間の交渉で問題が終了すること、紛争当事者間であっせん案に合意した場合には、受諾されたあっせん案は民法上の和解契約の効力をもつこと等があります。しかし、あっせん案の合意にいたらなかった場合は打ち切りとなり、労働審判や裁判に訴える等の別の手段での解決となります。

次に労働審判について説明します。労働審判制度は、労働紛争について、平成18年4月1日に新たに導入された紛争解決制度で、ADRと訴訟の中間の制度となっております。その目的は、急増する個別労働関係民事紛争の迅速、適正かつ効率的な解決の実現にあります。

労働審判手続きは、労働審判官(裁判官)1名と労働関係に関する専門的な知識と経験を有する労働審判員2名で組織された労働審判委員会が、個別労働関係民事紛争を、原則として非公開・3回以内の期日で審理し、適宜調停を試み、調停による解決にいたらない場合には、事案の実情に即した柔軟な解決を図るための労働審判を行うという紛争解決手続きです。労働審判に対しては、当事者から2週間以内に裁判所へ異議の申し立てがあれば、労働審判はその効力を失い、労働審判事件は訴訟に移行することになります。

以上のように話し合いで解決する見込みが強ければ、裁判手続と比べ、当事者本人のみで、容易に手続きができ、費用が廉価又は無料、解決が早いこと、円満な解決の面でADRが有益であると思います。よってより強制力の強い労働審判や訴訟から行うことも可能ですが、どちらも一般的には弁護士費用の捻出等を考慮しなければならないため、まずはADRを利用してはいかがでしょうか。なお、みくに労務管理事務所にも特定社社会保険労務士が在籍しておりますのでお問い合わせください。

みくに労務管理事務所

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