新聞掲載記事平成25年8月

社会保険の「傷病手当金」という休業保障について

Q. 自宅で掃除中に転倒し右足を骨折してしまい暫く会社を休むことになります。社会保険から給付が受けられますか。

突然の病気やけがのため欠勤した時のセーフティーネットとして社会保険には「傷病手当金」という休業保障があります。最近では受給を受ける原因も、うつ病等の精神疾患や癌や糖尿病など様々です。具体的な要件をご紹介しますのでご確認下さい。

【対象者】は
健康保険の被保険者の方です。国民健康保加入者や健康保険の被扶養者の方は給付は受けられません。

【要 件】は

  • 業務外の病気やケガであること。(あなたは仕事中でなく自宅で清掃中であり対象です。)
  • 療養のため労務不能であること。(労務不能とは、あなたが負傷前に従事していた業務が出来ないという事です。どのようなお仕事をされているかわかりませんが、例えば運転手さんであれば骨折により運転手としての仕事ができない間はたとえ事務仕事が出来たとしても労務不能であるという考え方です。給付の際は医師の意見書や従事する業務等により保険者が判断します。
  • 連続する3日を含み4日以上仕事ができなかったこと。(例えば、8月1日と2日は休んだが3日は出勤し4日にまた休んだというような場合は要件を満たさず、更に8月4日から連続する4日間が必要になります。)
  • 給与の支払いがないこと。(給与の支払いがあっても傷病手当金の額より少ない場合は、その差額が支給されます。)

【支給額】は
標準報酬の3分の2に相当する額です。(「標準報酬」とは一般の方にはなじみのない言葉ですが、おおまかにはあなたの月給に基づき算定された金額です。)

【支給期間】は
同一の傷病で支給を開始した日(待機期間を除いた4日目)から最長1年6カ月です。その際、一時的に復職し再度同じ傷病で休職した場合でも最初の受給日から1年6カ月後には期間は満了します。

【その他】
退職後であっても退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があり、退職時に傷病手当金を受けているか、受ける要件を満たしていれば受給出来ます。
また、老齢厚生年金を受給している場合は注意が必要です。両方受給できず年金が優先支給され、傷病手当金の額が多い時はその差額のみ支給されます。
以上、私傷病で負傷した際の健康保険から受けられる給付の概要です。ご不明な点などありましたら当事務所へお気軽にお問い合わせ下さい。

みくに労務管理事務所 社会保険労務士 飯島明美

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