新聞掲載記事平成27年6月

社会保険算定基礎届

Q. 会社で社会保険に加入しています。毎年10月になると保険料が上がっていますがどうしてですか。

健康保険と厚生年金、いわゆる社会保険の保険料は(標準報酬×保険料率)により計算され、翌月に支給される給与から徴収されます。所得税のように毎月給与支給額の変動により控除額が変わることはありません。それでは保険料が上がった原因は何でしょうか。

保険料算定の要素となる標準報酬が決定まる時期は次の3つの場合があります。

  • 取得時(社会保険に加入したときの給与の総支給見込額による)
  • 定時決定(毎年4月、5月、6月に支給される給与の支給額の平均による)
  • 随時改定(基本給など固定的賃金に変動がありその変動幅が2等級以上になった時の3ヶ月間の給与総支給額の平均による)

したがって、10月に保険料が上がったのであれば、この②により等級の変更があったことによるか、厚生年金保険料率のアップによるものと考えられます。②の届け出は、算定基礎届と呼ばれ毎年7月1日に現に使用されている加入者について4月、5月、6月に支給された給与額の平均を、標準報酬月額の等級表に当てはめて各人毎に標準報酬を決定するものです。

健康保険は1等級(58,000円)から47等級(1,210,000円)

厚生年金は1等級(98,000円)から30等級(62,000円)に区分され、上限と下限が異なっています。7月10日が提出期限となっていますので、今年も提出時期を迎えています。決定された標準報酬月額は基本的には、9月分(10月支払の給与)から翌年の8月まで適用されることとなります。

現在は毎年誕生日に年金定期便が届きますが、過去一年分の標準報酬(月額、賞与額)が記載されています。会社が適切に算定基礎届や賞与報告等を提出しているかを確認することもできます。この決定された標準報酬月額に基づき保険料が控除されるのはもとより、給付の基礎にもなります。健康保険では出産手当金や傷病手当金が支給されますが、給付率はこの標準報酬月額の3分の2となっており、30万円の標準報酬月額の方であれば、出産、病気、ケガ等で休業中には20万円相当の給付が受けられることになります。

厚生年金の保険給付には、老齢厚生年金、遺族厚生年金、障害厚生年金がありますが、ここでも標準報酬(月額、賞与額)に基づき加入期間を平均して年金額が決められます。さらに老齢厚生年金を受けながら厚生年金に加入している方の場合には、この標準報酬(月額、賞与額)と年金月額により年金が支給停止される場合もあります。

以上、標準報酬は保険料支払いと給付の両面で重要な要素となるものです。引き続き年金定期便等とよく見比べながらご自身でも確認をしていただくことをお勧めします。

みくに労務管理事務所 社会保険労務士 飯島明美

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