新聞掲載記事平成28年2月

介護休業給付金について

Q. この度、従業員より親の介護のために介護休業を取得したいとの申出がありました。休業期間中は、給付金を受けられる制度があると伺いましたが、どのような制度でしょうか?

働く人が介護休業を取得しやすくし、会社を辞めずに介護することや、その後の職場復帰を助け、介護と仕事の両立を支援する制度として、雇用保険に介護休業給付金制度があります。この介護給付金は、一定の要件を満たしている場合に支給されます。要件としては、①本人の受給資格、②家族と介護状態の条件、③支給期間と賃金の条件が挙げられますが、上記3要件について説明していきたいと思います。

①本人の受給資格について。
65歳未満で雇用保険に加入している人が対象で、介護のために会社を休む直前の2年間に1カ月あたり11日以上の賃金が支払われた月が12カ月以上ある人。

②家族と介護状態について。
対象となる家族は、配偶者、父母、子、配偶者の父母および同居し且つ扶養している祖父母、兄弟姉妹、孫です。対象となる家族が負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とされる状態にあることが必要です。常時介護ですが、介護保険の「要介護認定」を受けることまでは必要ありません。

③支給期間と賃金について。
介護休業給付金は、家族の同一要介護で1回の介護休業期間に限り、最長3カ月間(93日間)支給されます。原則として、対象家族1人の介護につき1回の支給ですが、1回目の介護休業が93日以内に終了し、その後、対象家族の病状が悪化するなど変化が生じた時は、通算93日に達するまで再び受給することができます。受給者は、介護休業の初日および末日を明らかにして事業主に申し出を行い、休業を取得することが必要です。支給申請は、事業主を通じて休業期間終了後、終了日の翌日から2カ月を経過した日と同じ月の末日までに行います。支給金額は、賃金が支払われない場合は、原則として、休業する前6か月間の賃金を基準に換算した日額の40%が1日につき支給されます。賃金が支払われる場合には、その金額に応じて、一部支給されるか、もしくは支給されないということになります。

現在、働きながら介護をしている人は、290万人とも言われています。年間10万人もの人が介護を理由に退職をし、さらにその6割の方は、仕事を続けたかったにもかかわらず、やむを得ず退職をされているとのことです。安倍総理大臣は、一億総活躍社会の実現に向けての第3の矢「安心につながる社会保障」として2020年までに介護離職ゼロを掲げています。企業にとっても、貴重な人材を失うのは大きな損失となります。今後、介護休業が活用しやすくなるように介護休業制度の見直しに向けた取組みに期待したいと思います。

みくに労務管理事務所  社会保険労務士 児玉いずみ

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