新聞掲載記事平成28年3月

36協定

Q. 従業員に時間外や休日労働が生じる場合に必要な手続きがあると聞きました。具体的に教えて下さい。

「36協定」という言葉を耳にされたことがありますか。正式名称は「時間外労働・休日労働に関する協定」です。これは従業員の労働時間が労働基準法第32条で定められた1週間および1日の労働時間や休日日数を越えてしまう場合に、同法第36条に定める手続きをする事により時間外労働や休日労働を認めるものです。おどろく事に、厚生労働省の労働時間総合調査(H25年度)では、調査企業の55.2%しかこの協定を結んでおらず、その原因の一つには36協定の存在すら知らなかったとあります。
以下に概略ですが36協定についご紹介致します。

○ 必要な協定事項
時間外労働をさせる必要のある具体的事由、業務の種類、労働者の数、有効期間等

○ 協定の当事者(労働者側)
監督又は管理の地位にある者でないこと。労使協定の締結等をする者を選出するものであることを明らかにして実施される投票、挙手等の方法により選出された者であること。

○ 延長時間の限度
一般労働者の場合は1ヶ月間で45時間、1年間で360時間
1年単位の変形労働時間制対象者の場合は1ヶ月で42時間、1年間で320時間

○ 特別条項付き協定
臨時的に限度時間を越えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合には、次の要件を満たす特別条項付き協定を結べば、更に限度時間を延長することができます。
原則として延長時間を定め、納期のひっ迫、機械のトラブル、ボーナス商戦に伴う業務の繁忙等の一時的又は突発的な特別の事情が予想される場合があり、全体として一年の半分を超えないことが見込まれること等が必要となります。

○ 協定の適用除外
工作物の建設等の事業、自動車の運転業務、新技術、新商品等の研究開発の業務等 以上、実務上は(厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/)に掲載されている様式9号を使用して協定を締結し届出することができます。就業規則は変更がなければ定期的な届出は不要ですが、36協定は毎年提出が必要になります。忘れずに管轄の労働基準監督署へ届出しましょう。

みくに労務管理事務所 社会保険労務士 飯島明美

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