新聞掲載記事平成28年8月

改正介護休業法

Q.実家の祖母の認知が進み介護が必要となりそうです。介護休業法が改正になると聞きましたが利用することができますか。

平成29年1月1日に介護休業法と育児休業法の改正が予定されています。

介護休業の対象となるご家族についても、現在の配偶者、父母、子、配偶者の父母、同居かつ扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫から、同居・扶養していない祖父母、兄弟姉妹及び孫も追加となります。したがってご実家の祖母も対象となります。

少子高齢化が進み両親をはじめとする身内の介護を理由に50代~60代を中心とした世代の離職が増加しています。総務省の就業構造基本調査では平成23年10月からの1年間で、その数は年間10.1万人(男性2万人・女性8.1万人)であり、介護を機に離職した理由については、男女共に「仕事と手助け・介護の両立が難しい職場だったため」や「自分の心身の健康状態が悪化したため」が多数となっています。

改正の趣旨は、このような従業員が離職することなく仕事と家庭が両立できる社会を目指すとされており主な内容については以下のとおりです。 

介護休業取得については、介護の開始や終了までの必要な時期にきめ細かく対応可能となるように、今まで原則1回限り93日までの取得の方法が、対象家族1人につき通算93日までの日数を3回までの分割取得を可能としました。介護休暇(年5日)の取得については1日単位での取得であったものが半日単位での取得が可能となり利用しやすくなったほか、短時間勤務、始業終業時刻の繰上げ繰下げ、フレックスタイム制度等が開始から3年間で2回以上は選択できるようにもなります。

また、従来から育児休業を行う従業員にあった時間外労働の免除制度が介護を行う従業員にも新設されます。

まずはご両親の介護するため利用できる介護保険のサービス(デイサービス、訪問介護、各種老人ホーム等)の検討と併せて、これらの介護休業法の制度をご確認いただき、従来では離職を余儀無くされていたケースであった場合でも仕事が継続できる環境が整えられるでしょう。その際には勤務先への配慮もお忘れずに勤務先と良く相談してください。

なお、同時に改正が予定されている育児休業についても、子の看護休暇が1日単位から半日単位が可能となり、対象となる子の範囲が実子・養子から法律上の親子関係に準ずる子にも広がる等があります。

以上が主な内容ですが、これらは国の目指す一億総活躍社会へ向けた政策の一環です。 政府の目指す社会は、少子高齢化という日本の構造的な問題について正面から取り組むことで歯止めをかけ50年後も人口一億を維持。1人ひとりの日本人、誰もが、家庭で、職場で、地域で生きがいを持って、充実した生活を送るとあります。これらに向けた法改正に期待をもちながら注視してゆきましょう。

みくに労務管理事務所 社会保険労務士 飯島明美

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