新聞掲載記事平成28年10月

介護人材確保対策

Q.デイサービスセンターを経営しています。思うように社員を採用できなくて苦労しています。人材確保に向けた国の取組みが行われるそうですがどのような内容ですか。

介護事業の人材確保の困難な状況は、厚生労働省の「介護サービス施設・事業所調査」でも具体的にしめされており、その原因は多々ありますがその一つは、介護が必要となる(要支援)認定者の増加です。その数は平成12年には218万人でしたが平成26年の586万人と増えています。このような必要なサービス量の増加に伴い介護職員数も14年間で54.9万人から176.5万人と3.2倍増にもなっていますが追いつかない。したがって採用段階での人手不足感が毎年強くなるのも頷けることです。ただし、地域性もあり有効求人倍率は東京都では特に5.6倍である一方で高知県では1.57倍とだいぶ異なっています。群馬県は2.75倍で全国平均の2.85倍とほぼ同じです。さらに、介護職についてのイメージも、夜勤等がありきつい、給与水準が低い、将来に不安がある仕事等があり就職希望を詐害する要因ともなっています。また、せっかく入社後も離職率も高く、その理由は腰痛を含む業務に関する心身の不調や、職場の方針、人間関係等のあり方がきっかけとなっているということです。

このような状況の改善に向け、国の取組みがされています。特に介護の需要が大幅に増加することが見込まれる2025年に向けた人材確保について、将来展望やキャリアパスが見えづらく、早期離職等により若者等一部の人材に偏った姿から、人材育成の促進や、就職していない女性や、中高年齢者、他業種、障害者等にすそ野を広げる姿へ移行できるよう次のような5つの施策が打ち出されています。

  • 多様な人材の参入促進を図るとして、中高年齢者の地域ボランティア参画等の促進、他産業からの参入を図るため、通信過程を活用する等があります。
  • キャリアパスを構築するとして、資格取得の支援や介護人材のキャリアパスシステム整備の促進があります。
  • 定着促進を図るとして、介護人材1人当たり月額1万2千円相当の賃金改善、介護ロボット導入支援等があります。
  • 継続的な質の向上を促すとして、介護福祉士の資格取得方法の見直しによる資質向上、マネジメントや医療ケア・認知症ケアなどの研修の受講支援があります。
  • 人材の機能分化を進めるとして、限られた人材を有効に活用するため、その能力や役割分担に応じた適切な人材の組合せや養成の在り方を検討する等があります。

これら国の介護人材確保の施策の詳細は、厚生労働省のHPにも掲載されています。魅力ある職場づくりに取組み人材確保が進められるようなご参考に少しでもしていただければ幸いです。

みくに労務管理事務所 特定社会保険労務士 飯島明美

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