新聞掲載記事平成30年1月

職業安定法改正について

求人を出す際、求人票に記載する項目が増えたとききました。どのような内容を記載しないといけないのでしょうか。

平成30年1月より職業安定法が改正になりました。現在、ハローワークをはじめ、民間の会社による求人情報提供など、仕事を探すサービスが多様化しています。そんな中、「求人詐欺」というニュースを耳にすることもあります。厚生労働省によると「ハローワークにおける求人票の内容と実際の労働条件が異なる」といった求職者からの申出が、2016年度に約9300件あったと発表されています。求職者が不利益を被ることがないよう対応することはもとより、求職と求人のより適切かつ円滑なマッチングを進めていくことが今回の改正の背景にあります。

まず労働者を募集する企業は、ハローワーク等へ求人申込みをする際やホームページ等で労働者の募集を行う場合は、労働契約締結までの間、次の労働条件を最低限明示することが従来から必要とされていました。①業務内容 ②契約期間 ③就業場所 ④就業時間 ⑤休憩時間 ⑥休日 ⑦時間外労働 ⑧賃金 ⑨加入する保険

今回の改正では、これらに加えて5項目が追加になりました。①試用期間の有無、試用期間が有る場合にはその期間と期間中の労働条件 ②募集者の氏名または名称 ③派遣労働者として雇用する場合にはその旨 ④裁量労働制を採用している場合にはその旨と、何時間働いたものとみなすかの労働条件 ⑤固定残業代を採用している場合には、時間外の労働の有無に関わらず何時間分の時間外手当として○○手当をいくら支給するか、また定めた時間数を超える時間外労働についての割増賃金は追加で支給する旨を記入する必要があります。

また、当初明示した労働条件が変更される場合は、雇用契約締結前に変更内容について明示しなければならないことが、今回の改正で追加されました。求職者が変更内容を理解できるよう、当初の明示と変更された後の内容を対照できる書面を交付するか、労働条件通知書において、変更された事項に下線や着色をし、速やかに求職者に知らせるよう配慮が必要です。学校卒業見込者等については、特に配慮が必要で、変更明示を行うからといって、安易に変更することは不適切です。学校卒業見込者等に対しては、原則として内定までに書面により労働条件を明示しなければなりません。

虚偽の条件を提示して、求人を行った場合の罰則もこれまでより強化されました。労働局による改善命令や企業名公表の対象となる場合もあります。企業にとって人材は企業を支える重要な要素です。求人トラブル防止のためにも注意してください。

みくに労務管理事務所 社会保険労務士 児玉いずみ

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