新聞掲載記事平成25年6月
70歳以上被用者該当・不該当届について
Q. 会社の役員をしていて社会保険に加入中ですが、70歳になったので年金をもらうために役員報酬を昨年の12月に大幅に下げました。月額変更届は提出済みとのことなのですが、年金額が変わりません。どうしてなのでしょうか?
通常年金をもらっている人で厚生年金に加入中の方が給与等の額を年金額が変わるくらい下げて月額変更届を提出すると給与等が下がった月から4カ月目に年金額が変わります。(標準報酬月額の場合、月額変更届を提出すると給与等が下がった月の5カ月目に変更となる点が異なります。)しかし、70歳以上の方は、月額変更届を提出すると同時に厚生年金70歳以上被用者月額変更届を合わせて提出しなければなりません。よって、この届出書を提出することにより、さかのぼって今年の3月の年金から額が増えることになります。ちなみに、改定月の初日から起算して60日以上経過しているため、月額変更届を提出していたとしても以下の添付書類を付けなければなりません。
◆被用者が株式会社(特例有限会社を含む。)役員の場合
以下の1~4のいずれか1つおよび所得税源泉徴収簿又は賃金台帳の写し(固定的賃金の変動のあった月の前の月から、改定月の前の月分まで)
- 株主総会または取締役会の議事録
- 代表取締役等による報酬決定通知書
- 役員間の報酬協議書
- 債権放棄を証する書類
※その他法人の役員の場合は、これらに相当する書類
厚生年金保険では、適用事業所に使用される70歳未満の者を被保険者にすることと規定されています。そのため、平成19年4月1日前は、どんなに高い給与等をもらっていても70歳以上の人は満額年金をもらえていました。しかし、平成19年4月1日以降、適用事業所で働いている70歳以上で被保険者に該当するような人(昭和12年4月2日以降生まれの者)は、70歳以上の被用者として、60歳代後半の在職老齢年金が適用されることとなったため、70歳以上の被用者に関して一定の届出が通常の届出にプラスして提出しなければならなくなりました。先ほどのケースの他に厚生年金70歳以上被用者該当・不該当届、厚生年金70歳以上被用者算定基礎・賞与支払届があります。被保険者だった人がそのまま70歳になったときに提出する該当届や70歳以上被用者算定基礎・賞与届は年金機構から用紙が送られてくるので提出漏れは少なくなりますが、月額変更届や不該当届はついうっかりしてしまうこともありますので注意が必要です。さらに、今年の4月から65歳以上の方で給与等が1等級以上下がる人(月額変更は2等級以上)は、同日得喪という処理で月額変更と異なり下がった月から新しい標準報酬月額を適用することができますので(今までは60歳から64歳まで)70歳以上の人は、70歳以上被用者該当・不該当届を忘れずにしましょう。
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