新聞掲載記事平成26年5月
出産、育児に備える女性労働者について
Q. 私(女性)は7月20日に初めての出産を予定しており、6月に入ったら出産と育児のため会社をしばらく休みます。出産や育児をするための休みについて補償があると聞きましたが、どのようなものがあるのか教えて下さい。
出産や育児のために会社を休むときに法律で定められている休業の流れを簡単に説明します。そしてお子さんが1歳に達してすぐに職場復帰することを前提とします。まず、労働基準法で産前6週間(42日<多胎妊娠の場合は92日>)と産後8週間(56日)について休みを取得できるよう定めています。また、産後8週間を経過後、原則として1歳に満たないお子さんを育てるための休みを取得できるようを育児・介護休業法で定めています。7月20日に出産予定ですので、多胎妊娠でない場合は6週間前の6月9日より産前休業を取得することができます。そして7月20日に出産した場合、8週間経過後の9月14日までが産後休業となります。その後、9月15日からお子さんが原則として1歳に達する日(誕生日の前日)までは育児休業となります。
次に補償についての説明です。産前6週間と産後8週間の休業について、休業1日につき、休む前の給与の日額換算額の約67%の額が出産手当金として健康保険から支給されます。そしてお子さんが1歳に達するまで休業した場合は、休業1日につき給与の日額換算額の約50%の額が雇用保険から育児休業給付金として支給されます(要件によっては延長される場合もあります)。ただし、法改正により今年の4月1日以降に育児休業を開始する場合は、開始してから180日目までは50%ではなく67%の額を支給されるようになりました。また、給付だけでなく出産や育児をするために休んでいる期間は社会保険料(健康保険と厚生年金保険)が会社分と本人分の両方が免除されます。つい先日まで育児休業の期間のみ社会保険料は免除されていましたが、こちらも法改正により、今年の4月30日以降に産前産後休業が終了する方については産前産後休業も社会保険料が免除されるようになりました。今までは出産や育児のために休みを取得した方について、産前産後休業の社会保険料は免除されなかったため、給与の支給がなくても社会保険料のみ控除されていました。このため本人が定期的に社会保険料を会社に納めるか、あるいは本人が職場に復帰してから給与から控除するなどしておりました。この休業期間は収入がありませんので保険料の負担は大変なものでした。
このように出産や育児をするための休みを取得する方について補償が以前より手厚くなり、更には社会保険料の負担額も以前より少なくなりました。また、先に説明した通り厚生年金の保険料も免除されますが、免除されているからといって将来の年金が少なくなることはありません。免除されている期間は保険料を払っているとみなされます。他にも厚生年金について将来の年金が不利にならないような救済策もあります。
最後になりましたが、上記の通り社会保障も充実してきておりますので安心して出産と育児に備えて下さい。
みくに労務管理事務所 社会保険労務士 竹沢智弘
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