新聞掲載記事平成26年8月

長期無断欠勤者の退職について

Q. 従業員が20日以上連続で無断欠勤をしており、連絡も全く取れない状況です。この従業員を解雇したいのですがどのように手続を踏めばよろしいでしょうか?

まずはあなたの会社の就業規則の定めによることになります。就業規則において無断欠勤が長期にわたる場合は解雇する旨の規定を定めていることを前提に話を進めます。

原則として従業員を解雇する場合は30日以上前に解雇する旨を通知するか(解雇予告)、その従業員の平均賃金の30日分の解雇予告手当を支払わなければできません。ただし、この場合は当該従業員の行方が分からないために解雇予告をすることができずに解雇をすることができません。たとえ両親に連絡が取れ、解雇をする旨を両親に話をしても解雇予告をしたということにはなりません。

法律上、このようなケースでは公示送達の方法を取れば解雇予告を有効とすることができます。公示送達とは簡易裁判所に申し立てをし、裁判所の掲示板に掲示するほか、官報等に少なくとも1回掲載することによって行なう方法です。最後に官報等に掲載された日から2週間以上経過した日に相手方にその意思表示が到達されたものとみなされます。ただし、この日が相手に解雇予告をした日とみなされるので実際の解雇日はその30日後になり、効率的な方法とはいえません。

一般的に退職等をする場合の意思表示は黙示の場合でも有効とされるケースがあり、長期無断欠勤によりそれが当該従業員からの黙示の意思表示ととれる場合には自己都合退職として取り扱うことができます。この点を踏まえ、今後の予防策として、例えば「無断欠勤が30日以上続いたらその最終の日をもって退職とみなす」といった規定を就業規則に定めてみてはいかがでしょうか。少なくとも今後はこのようなトラブルを防ぐことができます。また、無断欠勤が続く従業員を解雇したために、雇用保険からの助成金を受けることが出来なくなったと嘆く事業主もおります。この規定を設けておけば解雇の扱いになりませんので、助成金の問題にも対応できます。

みくに労務管理事務所 社会保険労務士 竹沢智弘

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