新聞掲載記事平成27年8月
医療費が高額になりそうなとき
Q. 社員が急病で手術することになり「医療費の支払いが心配です」と相談がありました。何か利用出来る制度がありますか。
医療機関窓口での支払いが高額になってしまう場合、従来から高額療養費制度があり一旦窓口で支払いのあと、事後申請による医療費の戻りがありましたが一時的にも大変な費用負担となっていました。
事前に高額になることがわかっている場合には限度額の認定申請をしておく方法があり、各人毎に定められた限度までの支払で済む制度があります。制度ができてしばらく経ち最近ではほとんどの方がこちらを利用していますが、病院での支払い前に窓口に認定証を提出しておくことが望ましいので保険者には早めに作成依頼をしておくと良いでしょう。
扶養家族も対象ですが、70歳以上の現役並みに所得のある方、一般所得者の方は高齢受給者証の提示をするだけで同様の取り扱いが受けられます。協会けんぽの加入者の場合は、具体的には次のような区分毎の窓口での自己負担となっています。
○70歳未満の方
(所得区分) (自己負担限度額)
- 標準報酬月額83万円以上の方 252,600円+(総医療費―842000円)×1%
- 標準報酬月額53万円~79万円の方 167400円+(総医療費―558000円)×1%
- 標準報酬月額28万円~50万円の方 80100円+(総医療費―267000円)×1%
- 標準報酬月額26万円以下の方 57600円
- 低所得者 35,400円
2. に該当する場合、市町村民税が非課税であっても、標準報酬月額での区分1、2.の該当になります。
上記の基準のほか、一年間に4回以上対象となった場合や同一世帯で同月に受診した場合等の軽減措置が細かく定められています。認定証の有効期限は申請月から最長で1年、保険対象外の差額ベット代や入院中の食事代等はこの制度の対象外となっています。入院する医療機関の説明を良く確認し、請求書が来た時に慌てないように申請しておくと良いでしょう。
なお、協会けんぽの加入者であれば、病気やケガで給与の支給が受けられない等の要件を満たした場合、傷病手当金(休業補償)が給与額の約3分の2支給されます。併せて申請が可能です。
みくに労務管理事務所 社会保険労務士 飯島明美
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