新聞掲載記事平成28年4月
建築一式工事の許可でリフォーム工事を行うことについて
Q. 私は、主に個人住宅の新築工事を請け負う工務店を営んでいます。最近、以前新築工事をしたお客様から、内部のリフォーム工事をしてほしいとの依頼がありました。建設業許可の建築一式工事を取得していますが、建築一式工事の許可でリフォーム工事を行うことは問題がありますか。
建設工事の種類は、建設業法で2つの一式工事と26種類の専門工事に分けられ、その工事の種類に応じた建設業の業種ごとに許可を受けることとされています。
ただし、軽微な建設工事のみを請け負う場合には、必ずしも建設業の許可を受けなくてもよいとされています。ここでいう「軽微な建設工事」とは、①建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事 、②建築一式工事以外の建設工事については、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事です。上記の軽微な工事に該当しない工事を請け負う場合には、元請・下請を問わず許可が必要になります。
あなたがお持ちの建築一式工事許可は、2つの一式工事の1つにあたり、大規模もしくは施工内容が複雑な工事で、総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建築する工事とされています。例えば、住宅の新築工事を請け負った場合、基礎、大工、屋根、内装、電気工事というように様々な専門工事が必要になります。これらの専門工事を行う者が自社にいない場合には、下請けの専門業者へ依頼する必要があります。建築一式工事とは、建築確認を必要とする新築工事や、基礎から行うような増改築工事を原則元請の立場で下請け業者を束ね監理監督しながら行う工事であるとされています。建築一式工事の許可を受けていれば、どんな工事でも請け負うことができると誤解されがちですが、大工工事や内装仕上工事など部分的な専門工事のみを請け負う場合には、それぞれに応じた許可が別途必要になります。
ご質問の件ですが、内部のリフォーム工事は、工事1件の請負金額が500万円未満であれば、専門工事の建設業許可がなくても請け負うことができます。500万円以上の工事を請け負う場合には、クロス張替えは内装仕上工事業、浴室改修は管工事業というように、工事内容に応じた専門工事の許可が必要になります。
ここで500万円という基準額ですが、消費税を含めた額になります。また、500万円は、手間の工賃だけではなく材料費もすべて含めた額になります。キッチンや浴室のリフォームを請け負う際には、流し台や浴槽といった材料費だけでも相当な金額になる場合がありますので、注意が必要です。
今後、安心してリフォーム工事を受注していただくためにも、専門工事を業種追加することをお勧めいたします。業種の追加には、一定の要件が必要になりますので、許可行政官庁または行政書士事務所へご相談ください。
みくに労務管理事務所 行政書士 峯岸 祥子
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