新聞掲載記事平成28年12月
65歳以上でも雇用保険加入が必要
Q.当社は定年退職後の従業員を積極的に雇用しています。平成29年1月1日より65歳以上の従業員も雇用保険に加入対象となると聞きましたがいかがでしょうか?
現在、雇用保険の新規取得は65歳までと定められておりますが、平成29年1月1日から加入要件を満たす65歳以上従業員にも適用が拡大され「高年齢被保険者」となります。その数は200万人位あると見込まれており、上限年齢はありませんので、場合によれば75歳の加入もある事となります。
適用対象者は1週間の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上雇用見込みがある方です。例えば半日勤務で1週間に5日勤務、1日8時間勤務で1週間に3日勤務の方は要件を満たすことになります。
なお、必要となる手続きのパターンは次のとおりです。
- 平成29年1月1日以降に新たに65歳以上の従業員を採用した場合
雇用した時から高年齢被保険者となりますので、雇用した日の属する月の翌月10日までに届出が必要となります。雇入れ後に所定労働時間の変更等があり該当することとなった時も同様です。 - 平成28年12月末までに雇用し平成29年1月1日以降も継続して雇用している場合
在職中の65歳以上の方で適用対象である方は、平成29年1月1日より高年齢被保険者となりますので、平成29年3月31日までにハローワークに届出が必要となります。 - 平成28年12月末で高年齢継続被保険者である場合
自動的に高年齢被保険者になりますので届出は不要です。
また、65歳以上の方の保険料の徴収は平成31年度までは免除とされています。高年齢被保険者として離職した場合、受給要件を満たすごとに高年齢求職者給付金が支給(年金と併給可)されます。一時金としての支給となりますが、加入期間が1年以上は一律に基本手当日額の50日分、1年未満は30日分となっています。基本手当日額は退職前6ケ月の給与総額を180で割った額のおよそ50~80%(上限6,370円(平成29年7月31日までの額))、したがって65歳以降の給付については改正前と同水準です。
少子化の影響による若年層の労働力人口の減少が進むなか、元気に働く高齢者への仕事への活力となるものとなればよいのですがいかがでしょうか。今から65歳以上の未加入者の方と話し合いのうえ雇用条件を確認しておくなど準備をしておくと安心です。
その他新規雇用の際には「高年齢者雇用開発特別奨励金」の対象となることもありますのでご確認下さい。
みくに労務管理事務所 特定社会保険労務士 飯島明美
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