新聞掲載記事平成29年1月
年金受給資格期間が10年に短縮へ
Q.国民年金の保険料を10年納付するだけでも、年金がもらえるようになると聞きましたが本当でしょうか?
昨年11月年金の受給資格期間短縮法が成立しました。これにより、平成29年8月より老齢基礎年金の受給資格期間が25年から10年に短縮されることになりました。納付した保険料に応じた給付を行い、将来の無年金者を抑えていくという視点から改正されました。受給資格期間の短縮により新たに約64万人に受給権が発生し、その内訳は、65歳以上で初めて老齢基礎年金の受給権が発生する人が約40万人、65歳未満で特別支給の老齢厚生年金の受給権が発生する人が約24万人といわれています。
今回短縮される受給資格期間とは、年金を受け取るために必要な加入期間のことをいいます。国民年金保険料を納付した期間だけではなく、厚生年金、共済組合への加入期間もすべて合計した期間です。また、年金額には反映されない国民年金保険料が免除された期間や、これまでの年金制度の変遷の中で国民年金の被保険者の対象となっていなかった期間や、国民年金に任意加入しなかった合算対象期間も、受給資格期間になります。受給資格期間が、24年しかなく、1年足りずに年金が受給できなかった方も、今回の改正により受給できるようになるのです。対象となる年金は、老齢基礎年金だけではなく、老齢厚生年金、退職共済年金、寡婦年金と旧法の老齢・通算老齢も含まれます。
具体的には、平成29年8月施行の期間短縮により新たに受給資格期間を満たす方は、翌月の9月分から老齢基礎年金の受給権が発生します。対象となる方には、本年の2月下旬から7月にかけて黄色の封筒に入った年金請求書が年齢の高い方から日本年金機構より順次送付される予定です。窓口の混雑が予想されることから、8月の施行日より前に、年金事務所へ年金請求書の提出が可能になるようです。手続きが順調に行われた方ですと、早ければ10月に9月分の年金が支払われることになります。
支払われる年金額は、それぞれの方の加入期間の実績に応じた年金額になります。例えば国民年金に10年間加入した場合の老齢基礎年金の金額は、平成28年度は年間約19万5千円です。月額にすると約1万6千円で、老後の生活費としては低年金になってしまいます。国民年金には、平成30年9月まで、過去5年間以内の未納保険料を納付できる後納保険料制度や、60歳以降任意に加入して年金額を増やす制度もありますので、老後の年金額を少しでも増やしたい方は、ご検討ください。
みくに労務管理事務所 児玉 いずみ
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