新聞掲載記事平成29年5月
労災保険事業主の特別加入制度
昨年起業をして従業員を採用しました。労災保険の加入義務があり、事業主も加入できる制度があると聞きました詳しく教えて下さい。
ご質問の労災保険は、年度毎(4月1日から翌年3月31日まで)を区切って手続きがあり、多くの会社では現在年度更新と言われる手続きの最中です。最近は未加入対策もさかんに進められ当事務所でも1年のうちで一番お問い合わせが多くあります。1年を振り帰ると、加入者から転倒や交通事故等様々な災害発生の連絡があり万一労災保険が成立していなかったらと肝を冷やすこともあります。国の労災保険は従業員の業務災害や通勤災害に適用されるもので従業員を 1 人でも雇っている場合加入義務があります。
その際に、中小企業では従業員と同様に業務に従事して罹災したときに備えて事業主や法人役員であっても労災保険に特別に加入できる制度がありますので要件についてご紹介します。
① 中小企業として認められる企業規模
金融業・保険業・不動産業・小売業は従業員50人以下
卸売業・サービス業では100人以下
それ以外の業種では300人以下
② 特別加入対象者
労働者以外で①の事業主の事業に従事する人
例えば、事業主の家族従事者や法人の役員等となります。原則包括加入ですが病気療養中の方、ご高齢で業務に従事しない方、事業主の本来業務のみに従事する方等は申請により包括加入の対象から除くことが出来ます。
③ 特別加入をするための要件
ⅰ雇用する従業員について労災保険が成立していること
ⅱ労働保険事務組合に事務処理を委託していること
ⅲ加入申請をして労働局長の承認を受けること。申請の際に加入希望者が粉塵や有機溶剤等を使用する場合は健康診断を受ける必要があります。
以上加入のポイントですが、給付も治療費、休業補償、障害給付、遺族補償、葬祭料と従業員と同じ種類があります。
加入の窓口となっている労働保険事務組合は県内に多数あります。連絡先がご不明な際はお近くの労働基準監督署にお問い合わせ下さい。
みくに労務管理事務所 特定社会保険労務士 飯島明美
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