新聞掲載記事平成29年6月

建設工事の入札参加と経審

建設業許可を取得し、塗装工事業を営んでいます。今後、公共工事を元請として請け負うことを希望しています。公共工事の入札に参加するには、経審という審査を受けなければならないと聞きました。どのような審査でしょうか。

国や都道府県、市町村等の地方自治体が行う公共工事の入札に参加するには、あらかじめ「入札参加資格審査」を受け「入札参加資格者名簿」に登録しておく必要があります。公共工事は、公平かつ公正な観点から、広い門戸で請負業者を募ることが求められていますが、公共工事を請け負った業者が技術力や財務面で工事を遂行するだけの能力がないと大きな問題となってしまうため、一定の要件を設け事前に審査を行い、名簿に登録された業者のみ参加できる仕組みになっています。

この要件の一つが、経営事項審査になります。略して「経審」と呼ばれています。建設業者は、建設業許可を取得している業種の中から入札参加を希望することが出来、入札参加を希望する業種について経審を受けなければなりません。経審では、次の 4 項目について審査します。

①経営規模、②経営状況、③技術力、④社会性等その他の審査項目

この 4 項目から算出された点数をもとに、総合的に評価された総合評定値(P 点が算出され結果通知書が発行されます。この総合評定値(P 点)が、入札参加資格において建設業者の格付けに利用されています。それは工事の規模およびそれに必要な技術力に見合う能力のある建設業者に工事を発注する必要があるからです。経審は、決算の内容を基準に受けるため、基本的に決算日が審査基準日になります。有効期限は、審査基準日より 1 年 7 カ月です。例えば、決算日が平成 29年 1 月 31 日で、これに基づき受けた審査は、平成 30 年 8 月 31 日まで有効となります。有効期限を切らさないためには、毎年決算が終わるたびに審査を受ける必要があります。

入札参加資格審査は、国、都道府県、市町村等、発注機関ごとに申請する必要があります。また、多くの発注機関では経審で算出された客観的評価の総合評定値(P 点)に加え、主観的な評価項目を設けています。例えば群馬県では、優良工事・技術者表彰状況、地域への貢献活動、環境活動への取り組み、ワーク・ライフ・バランスの推進等を行っている建設業者に対し加点を行い、合計点数により格付けを行っています。発注機関により、入札参加資格審査申請書の提出方法、受付期間も異なりますので、事前に確認し、早めに対応されることをお勧めします。

みくに労務管理事務所 児玉いずみ

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