新聞掲載記事平成29年8月
高年齢雇用継続給付金
来月60歳の誕生日を迎えます。勤務先の定年は60歳ですが希望すれば65歳まで勤務することが出来ます。継続勤務をすると受けられる給付があると聞きました。詳しく教えて下さい。
ご質問の給付はハローワークから支給される高年齢雇用継続給付金と呼ばれるものです。ハローワークの給付は失業した時に受取る失業保険(基本手当)のイメージが強いですがその他にも様々な給付制度があります。特に育児休業給付金や介護休業給付金そして高年齢雇用継続給付金は社労士事務所でも頻繁に行う手続きの一つです。
高年齢者雇用安定法による企業への65歳までの雇用義務についてはだいぶ浸透し、企業側でも貴重な人材として継続勤務を期待する傾向は益々強くなっています。社員側でも厚生年金の支給が除々に先送りとなるなか多くの方から継続勤務の希望が生じています。
今回はご質問をいただいた高年齢雇用継続給付金についてその仕組みをご紹介します。
まず、支給を受けることができるのは、60歳以上65歳未満の雇用保険に加入している方で加入期間が5年以上あり、原則60歳時の給与に比べて75%未満となった方です。支給額は60歳以後の各月に支払われた給与に基づいて計算され最高で各月に支給された給与の15%となっています。
例えば、60歳時の給与額が40万円の方が、継続勤務となり給与が24万円となった場合、高年齢雇用継続給付は24万円の15%の3万6千円となります。給与はダウンしてしまいますがハローワークからこの給付を受けることができます。高年齢雇用継続給付金は非課税で所得税もかかりません。場合によっては社会保険料も同日得喪により減額となります。先ほどの40万円から24万円のケースでは一ヶ月約2万5千円の社会保険料が減額となります。さすがに定年前の手取収入は確保できませんが会社にも本人にもありがたい補填になります。
実際の手続きは最初に運転免許証などの書類を添付して受給要件の確認をしたうえで以降2ヶ月に一度前2ヶ月分の賃金台帳や出勤簿を添付して申請します。
その後特別支給の老齢厚生年金を受けるようになった時には働く日数や労働時間が厚生年金加入しなくてはならない勤務状況の場合は、在職老齢年金による年金の減額に加えて高年齢雇用継続給付金の受給による年金の減額が生じる場合があります。減額率は最高で標準報酬月額の6%となっています。先の事例の場合24万円の6%で約1万4千円となります。
その他、60歳以降退職して失業保険(基本手当)を受給した場合でも、支給残日数等の要件を満たす場合には高年齢再就職給付金を受給できる場合があります。
いずれにしろ申請には毎回の証明を受けるなど勤務先の協力が必要です。ご相談のうえ手続きをすすめて下さい。
みくに労務管理事務所 特定社会保険労務士 飯島明美
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