新聞掲載記事平成29年9月
育児・介護休業法改正
今年1月に育児休業について改正がありましたが、また10月に改正があると聞きました。どのような改正でしょうか。
ご存知のとおり、平成29年1月より「育児・介護休業法」の改正法が施行されています。1月の改正では、育児や介護を行う労働者が仕事と家庭を両立し、仕事を継続できるよう支援する目的で改正されました。育児分野では、子の看護休暇(年5日)の取得単位の柔軟化、有期雇用契約労働者の育児休業の取得要件の緩和、育児休業等の対象となる子の範囲拡大、事業主に対する上司等からのマタハラ・パワハラ防止措置の義務づけが主な改正点でした。
この10月からは、さらに保育所等に入所できずに退職を余儀なくされる事態を防ぎ、育児をしながら働く労働者が育児休業等を取得しやすい職場環境の整備を進める目的で、改正法がスタートします。
今回最大の改正点は、育児休業期間の延長です。これまでは、原則「1歳まで」の育児休業期間を保育所等に入れない等の場合に、例外的に「1歳6ヵ月まで」延長可能でしたが、今回の改正では、保育所等に入れない等の場合に再度申請することにより「最長2歳まで」延長可能になります。これに合わせ、雇用保険から支給される「育児休業給付金」の支給期間も2歳まで延長になります。
その他の改正点として、2点の努力義務規定が設けられました。1点目は育児休業等制度の個別周知です。事業主は、労働者又はその配偶者が妊娠・出産した場合や、家族を介護していることを知り得た場合には、その労働者に対して個別に育児休業・介護休業等に関する制度、休業中や休業後の待遇、労働条件について知らせることが努力義務として規定されました。2点目は育児目的休暇の新設で、特に男性の育児参加を促進するために、就学前の子を養育する労働者が育児に関する目的で取得できる休暇制度を設けることが努力義務として規定されました。配偶者出産休暇や入園・卒園式参加休暇なども例としてあげられます。
現在、厚生労働省では仕事と家庭を両立するにあたって様々な制度があります。調査では「職場が育児休業を取得しづらい雰囲気だった」ことによる育児休業を断念した女性は3割にのぼるとされています。事業主が制度の周知や勧奨することにより、労働者が安心して育児休業を取得することが望まれます。また、事業所の両立支援の取り組みを評価する「くるみん」等の認定制度もありますので、企業アピールとして活用することも可能でしょう。
みくに労務管理事務所 社会保険労務士 児玉いずみ
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