新聞掲載記事平成29年11月

目前に迫った無期転換ルール

当社のパートタイマーの雇用期間は1年であり契約更新を繰返しています。来年4月に契約期間のルールが変わると聞きました。詳しく教えて下さい。

ご質問のとおり平成25年4月1日に施行された改正労働契約法により、有期労働契約者を雇用する多くの企業で平成30年4月に向けた準備をしておく必要が生じることが予想されます。そのルールと対応についてご紹介を致します。

まず、無期転換ルールとは、有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合に、有期契約労働者からの無期転換の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるしくみのことです。この有期労働契約者には、パートタイマーや定年後に継続雇用されている嘱託社員も含まれます。有期労働契約者の約3割が通算5年を超えて契約を反復更新している実態があることから、多くの会社にとって、有期契約労働者は貴重な人材として定着しているとも言えますので、この改正を前向きにとらえれば、意欲と能力のある社員を安定的に確保でき、長期的な人材育成を図ることができるとも考えられます。

今後必要と考えられる手順としては、まず社内全体の就労実態(人数・職務の内容・労働時間・契約期間・更新回数・勤続年数)を把握し、社内の仕事を期待する役割(基幹的な業務・補助的は業務)業務の必要性(一時的な業務・恒常的な業務)に従って整理し、整理した区分ごとに任せる仕事を考える。そのうえで無期転換後の社員に適用する労働条件(契約期間を無期とするのみ・時間や職務等を限定した正社員として積極的に登用する等)を検討し、必要な就業規則の作成と運用改善を行うことが考えられます。

なお、この無期転換ルールには無期転換権が発生しない ①大学等及び研究開発法人の研究者、教員等 ②プロジェクトに従事する高度専門職③継続雇用の高齢者の3つの特例が設けられています。①②のケースはほとんどないと思いますが、該当企業が多い ③の特例を受けるためには、「第二種計画策定・認定申請書」を作成し労働局長から認定を受ける必要があります。群馬労働局の担当者によると、平成29年10月の時点ではこの申請から認定までの期間は約2週間となっていましたが、来年3月には駆け込み申請の増加が予想され、申請から認定まで1ヵ月でも厳しい場合があるかもしれないとのことでした。認定日から特例は該当となります。年末となり総務人事のご担当の皆様にはご多忙な時期ですが早めの対応をご検討下さい。国のHP に「有期契約労働者の無期転換ポータルサイト」があります。導入企業の事例や国の支援策も多数掲載されていますので参照下さい。

みくに労務管理事務所 特定社会保険労務士 飯島明美

ページの先頭へ戻る