新聞掲載記事平成30年4月

パートタイマーと有給休暇

Q パートタイマーを雇用してから、間もなく6カ月が経過しようとしています。正社員には有給休暇を与えていますが、パートタイマーにも働く日数に応じて有給休暇を与える必要があると聞きました。また、週3日働いている方が、週4日働くようになった場合にはどのような対応を取るべきでしょうか。

A 有給休暇は、6か月間継続勤務し、かつ、所定労働日の8割以上を出勤した場合に与えなければならないとされています。正社員に、有給休暇を与えなければいけないことは一般的に周知されていますが、パートタイム労働者にも、前述の要件を満たした場合には有給休暇を与えなければなりません。

正社員には、入社して6ヶ月の時点で10日の有給休暇を与え、以後1年を経過するごとに勤続年数に応じて1日または2日加えた有給休暇を与えて、6年6ヶ月の時点では20日を与えるようにします。以後、毎年20日の有給休暇を与えることになります。これに対して、週の所定労働日数が4日以下、あるいは年間の所定労働日数が216日以下のパートタイム労働者には「比例付与」といってその所定労働日数に応じた日数の有給休暇を与えること、とされています。週4日勤務の場合は6ヶ月経過後7日、週3日勤務の場合は5日、週2日勤務の場合は3日、週1日勤務の場合は1日と決められており、勤続年数に応じて増加していきます。たとえ週1日の勤務であっても有給休暇を与えなければなりません。

なお、パートタイム労働者であっても、週の所定労働時間が30時間以上である場合には、正社員と同様の日数を与えなければなりません。

ご質問にあるようなパートタイム労働者の週の所定労働日数が変更になった場合について説明します。有給休暇は、入社6ヶ月が経過した後1年ごとに与えます。これを基準日と呼びます。基準日から1年の間は、途中で週の所定労働日数が増減することがあっても、その都度、有給休暇の付与日数を計算する必要はなく、変更しなくてよいことになっています。次に来る基準日に、その時点に応じた日数を与えます。

現在、労働力不足が問題となっており、パートタイム労働者の活躍に期待が高まっています。平成27年4月から、パートタイム労働者の公正な待遇を確保し、納得して働くことができるようにするため、パートタイム労働法や施行規則、パートタイム労働指針が変わりました。厚生労働省では、パートタイム労働者の働きに見合った待遇、つまり正社員との均等・均衡待遇を推進しています。また、パートタイム労働者がいきいきと働くことができる職場環境を整備するためには、企業の自主的な取組が重要であることから、パートタイム労働者の活躍推進に向けて取り組んでいる事業所に対して「パートタイム労働者活躍推進企業表彰制度」も行っています。

みくに労務管理事務所 社会保険労務士 児玉いずみ

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