新聞掲載記事平成30年5月
年金の満額受給
Q 私はもうすぐ60歳になりますが、過去に国民年金の保険料を支払っていない期間があります。将来、国民年金を満額受給したいのですが、可能でしょうか。
20歳から60歳までの480月を公的年金に加入して保険料を納めると、65歳から国民年金の満額を受給することができます。現在の国民年金の満額は年間で779,300円となっています。過去に保険料を支払っていない期間の長さによっては、残念ながら国民年金を満額受給できない場合もありますが、満額受給、又は満額受給に近づけるための方法が2通りあります。
まず、過去に国民年金の保険料を支払っていない未納期間を保険料納付済み期間にするために後納制度を利用することです。この後納制度を利用すると、時効により納めることができなかった国民年金の保険料を納付することができます。通常、2年を過ぎてしまった期間の国民年金の保険料は、時効により納めることはできませんでした。しかし、平成27年10月から平成30年9月までの3年間の時限措置として、年金事務所で申請することで過去5年前まで遡って保険料を納付することができます。納める後納保険料は、過去3年以前の期間になると、当時の保険料に一定の加算額が足されます。また、保険料は後納できる期間のうちで最も古い期間から納めるルールになっています。具体的な後納保険料の金額は、加算額を足しても、およそ15,700円前後となっています。これは平成30年度の国民年金保険料より低い金額ですので、後納制度で保険料を納付するのはお得になりますね。
もう1つは60歳を過ぎてから国民年金の任意加入制度を利用することです。国民年金は20歳から60歳までは強制加入ですが、60歳になっても国民年金の保険料の納付済み期間が480月に達していない場合であって、厚生年金や共済年金に加入していない場合は、受給する国民年金を増やすために60歳から65歳までの間、任意加入することができます。この任意加入制度は、過去に遡って加入することはできません。例えば、60歳になった時、国民年金の未納期間が2年あるとします。満額受給をするために任意加入制度を利用して2年分国民年金の保険料を納めようと思っていても、実際に任意加入の申込をしたのが64歳になった時だとすると、過去に遡って加入はできませんので、任意加入制度を使って保険料を2年分すべて納めることができません。
後納制度も任意加入制度も申込みをして納付するまでは、事務手続きの期間を要しますので、申込の時期によって自分が希望した期間が納められないことも考えられます。特に後納制度は今年の9月で終了してしまいますので、ご注意ください。
みくに労務管理事務所 須田めぐみ
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