新聞掲載記事平成30年9月

働き方改革関連法に伴う新36協定

Q. 働き方改革関連法の施行に伴い36協定が新しくなると聞きました。詳しく教えて下さい。

A. 働き方改革関連法は平成30年6月29日に成立しました。国会審議中に話題となった高度プロフェッショナル制度の新設を含めた労働基準法・労働安全衛生法等対象となる法律は多岐にわたりその施行日も法律毎や企業規模毎に異なります。中でも電通事件を発端にした過重労働対策は今回の改正の重大ポイントであり関連してご質問の時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)の内容や届出書も変更になります。

施行日は2019年4月(中小企業は2020年4月)となっており、実務的には施行日後の期間のみが対象となる36協定を締結する時から適用となります。既に新様式や留意すべき事項に関する指針が厚生労働省のHPにUPされていますがポイントをいくつかご紹介します。

原則としての労働基準法の法定労働時間は変らず1週40時間・1日8時間でありこの法定労働時間を超えて時間外労働(残業)をさせる場合には36協定の締結と監督署への提出が必要です。その上で例外も変らず、原則月45時間かつ年間360時間です。ただし、その根拠が大臣告示から労働基準法に格上げとなりました。その為改正後の違反は労働基準法違反となりますので罰則(労基法119条6ヶ月以下の懲役または30万円以下)が適用されることになります。

さらに、例外の例外も労働基準法を根拠として「通常予見できない業務量の大幅な増加等」があれば①年間720時間②2ヶ月から6ヶ月平均80時間③休日労働を含め月100時間未満が限度となりました。その際の注意点として①では法定休日労働時間は含まないが②③では法定休日労働時間を含むと取扱いが異なり複雑です。今後は就業規則で法定休日と法定外休日を明確に区分することや健康確保措置の定めも必要となりますし、特別条項を設ける際の理由も改正前の「臨時に限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合」と比較するとだいぶ制限されているのが分かります。

急激に時間外労働の削減が難しい自動車の運転業務、建設事業、医師、新技術・新商品の開発等の業務には適用除外や施行日の先送りが設けられていますが、今から社内業務の見直しを行い過重労働が生じないように準備を進めてゆきましょう。

みくに労務管理事務所 飯島明美

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